ハマ弁日誌

弁護士大石誠(神奈川県弁護士会所属)のブログ 最近は相続の記事が中心です

令和4年の主な法改正

令和4年に施行日を迎える主な改正法をまとめました。

出産育児一時金の支給額
1月1日~、健康保険法施行令等の一部を改正する政令が施行されました。
出産育児一時金の本来分を4,000円引き上げて、他方で、掛金分を4,000円引き下げることとなりました。
合計支給額42万円から変更はありません。


②眼の障害の認定基準
1月1日~、国民年金法施行令等の一部を改正する政令が施行されました。
障害年金の審査に用いる眼の障害認定基準が変更されました。
具体的には、
・視力 「両眼の視力の和」から、「良い方の眼の視力」を認定基準となります。
・視野 従来のゴールドマン型視野計に基づく障害認定基準に加えて、自動視野計に基づく障害認定基準を加えます。また、これまでの障害等級(2級)に加えて、1級・3級の規定が追加されます。


傷病手当金の支給期間を通算化
1月1日~、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律が施行されました。
これまでは支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間があったとしても、支給開始日から1年6か月を経過すると、そこで不支給となっていました。
今後は、同一の怪我や病気に関する傷病手当金の支給期間は、支給開始日から”通算して”1年6か月に達するまでが対象となります。


育児休業等の個別周知が義務化
4月1日~、育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律が施行されます。
本人や配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、事業主から育児休業の取得の意向を確認するための措置を講じることが義務となります。
※これまでは努力義務でした。


⑤年金受給開始時期の選択肢の拡大
4月1日~、年金制度の機能強化のための国民年金法律等の一部を改正する法律が施行されます。
これまでは年金受給開始時期は、60歳~70歳まで選択可能となっていましたが、上限が75歳となります。
【参考:年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました|厚生労働省

また、年金手帳が廃止され、基礎年金番号通知書に切り替えとなります。


パワハラ対策
一昨年の記事【参考 パワハラ防止法が施行されました。 - ハマ弁日誌】ですが、改正労働施策総合推進法によって事業主に対してパワハラを防止するための措置が義務付けられました。
中小企業については今年3月までは努力義務となっていましたが、猶予期間を終え、今年4月からは中小企業であっても義務の対象となります。
・企業(事業主)によるパワハラ防止の方針等の明確化と周知や啓発
・相談や苦情に適切に対応するために必要な体制の整備
・被害を受けた労働者へのケアや再発防止など、事後の迅速かつ適切な対応
が必要となります。


⑦出生時育児休業給付金
10月1日~、育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律が施行されます。
子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得することができる、産後パパ育休制度が創設されます。
この休業を取得した場合には、従来の育児休業給付金とは別に、出生時育児休業給付金が支給されます。


社会保険の適用事務所に士業を追加
10月1日~、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律が施行されます。
弁護士、公認会計士司法書士土地家屋調査士行政書士、税理士、社会保険労務士等の各士業で、常時5人以上の従業員を雇用している事業所は、健康保険および厚生年金保険の適用事業所となります。


やはり社会保障の分野では、頻繁に法改正がされますのでアンテナを張っておくことが大事ですね。


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