ハマ弁日誌

弁護士大石誠(神奈川県弁護士会所属)のブログ 最近は相続の記事が中心です

遺言執行者の職務(遺贈×所有権移転登記抹消登記請求)(続)

職務上請求と言って、弁護士は事件処理にあたって必要な限度で戸籍謄本や住民票の写しを自治体から取得することができます。
先日、とある自治体に戸籍謄本を請求したところ、「手数料 無料」とのことで、定額小為替が返送されてきました。
郵送での請求だと追加料金が必要な自治体もあれば、無料の自治体もあり、自治体毎の財政力の格差からなのか…と考えさせられました。


さて、本題


先日、5月19日に出される最高裁判決について予想する内容の記事を投稿しました。

詳細はこちら
ooishimakoto68.hatenablog.com


最高裁のウェブサイトを検索すると、判決書が掲載されていました。

詳細はこちら
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/085/092085_hanrei.pdf


やはり、予想どおり、「相続財産の全部又は一部を包括遺贈する旨の遺言がされた場合において、遺言執行者は、上記の包括遺贈の効力が生じてからその執行がされるまでの間に包括受遺者以外の者に対する所有権移転登記がされた不動産について、上記登記のうち上記不動産が相続財産であるとすれば包括受遺者が受けるべき持分に関する部分の抹消登記手続又は一部抹消(更正)登記手続を求める訴えの原告適格を有すると解するのが相当である。」として、

遺贈の場合においても、遺言執行の一環として、所有権移転登記の抹消登記手続を求めることができる

との判断がされました。


このケースでは他にも論点があり、

● 相続分の指定をする旨の遺言では、遺言執行者は、所有権移転登記の抹消登記手続を求めることができない(原告適格がない)
※相続法が改正される前に発生した相続の場合

● 複数の包括遺贈のうちの一つがその効力を失った場合、遺言者が遺言に別段の意思表示をしたときを除いて、効力を失った包括遺贈につき包括受遺者が受けるべきであった財産は、他の包括受遺者には帰属せず、相続人に帰属する

といった判断がされています。


遺言の種類(「相続させる」「相続分の指定」「遺贈」)の異同を理解した上で、遺言書を作成することが重要だと再認識させられた事案でした。



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