ハマ弁日誌

弁護士大石誠(神奈川県弁護士会所属)のブログ 最近は相続の記事が中心です

2030年の日本における相続事情予測

生成AIに予測をさせてみました。

2025年時点の統計データから、2030年頃の相続を取り巻く状況は次のように変化すると推測されます。超高齢社会が一層進行する中、相続の件数や内容はより多様で複雑になり、税制・制度の面でも新たな対応が求められるでしょう。
以下に主なポイントをまとめます。

都市部で相続税課税が一段と増加

令和5年(2023年)分の相続税申告では、課税対象となった被相続人の割合が過去最高の約9.9%(10人に1人)に達しました。平成27年(2015年)の基礎控除引下げにより課税件数は改正前の約2.8倍に拡大しており、その後も地価上昇や高齢世代の資産集中を背景に課税割合は上昇傾向です。
とりわけ資産価値の高い都市部で顕著で、神奈川県では2023年時点で課税割合14.3%と全国平均を大きく上回り、東京都(18.7%)・愛知県(15.1%)に次ぐ高さです。2030年には神奈川県でも課税対象者が2割近くに達する可能性があり、都市部の相続人ほど税負担リスクが高まると考えられます。
なお被相続人一人当たりの平均課税価格は令和5年で1億3,891万円にのぼっており、高齢世代が2030年には金融資産の65%を保有するとの推計からも、多くの相続で高額資産が動く時代になるでしょう。

遺言作成と生前対策の普及

相続に備えて生前に手続きを準備する動きが、2030年にかけて大きく進むと予想されます。
公正証書遺言の作成件数は着実に増加しており、令和4年(2022年)には約111,977件(約11.2万件)と過去10年で27%増加しました。さらに令和2年開始の法務局「自筆証書遺言書保管制度」は利用件数が年々伸び、施行4年で累計79,128件に達しています。法務省は制度開始から10年後に年間30万〜40万件程度の利用を見込んでおり、2030年前後には遺言書を作成・保管することが今より格段に一般化しているでしょう。
生前に遺言を残す人の増加は、相続手続きの円滑化や紛争予防に寄与すると期待されます。
また、認知症対策としての成年後見制度や家族信託の利用も徐々に広がる見込みです。令和6年末時点で成年後見等の利用者数は約253,941人に達しており、高齢者の認知症増加に伴い今後も利用件数は増加するでしょう。ただし、任意後見契約は契約数こそ累計12万件規模あるものの実際に後見が発動しているのは約3%(2,773件)に過ぎず、制度の認知不足や利用しづらさが課題です。
財産管理の柔軟な手段として家族信託への注目も高まっていますが、公正証書による信託件数は令和5年で4,434件と限定的な水準に留まります。2030年には、これら遺言・後見・信託など生前対策の重要性が今以上に周知され利用も増えているものの、超高齢社会の速度に対して依然十分とは言えず、更なる制度整備や啓発が求められる状況が続くでしょう。

複雑化する家族と遺産分割トラブル

家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割を巡る争いは、2030年頃まで大きな水準変化はないものの高齢化に伴う若干の増加が見込まれます。
近年の申立件数は年間約1万2千件〜1万3千件で推移しており、令和4年に調停・審判で解決した事案は6,857件でした。そのうち約76%が遺産総額5,000万円以下のケースで占められており、高額な資産家に限らず比較的少額の遺産でも親族間でもめるケースが大半である実態は、今後も大きく変わらないでしょう。むしろ死亡件数自体の増加で絶対件数はやや増える可能性があり、遺産分割を巡る家庭内紛争は一定規模で継続すると考えられます。 加えて、家族形態の多様化により紛争内容は一層複雑化する懸念があります。高齢者のみ世帯や再婚家庭の増加により、相続人同士の続柄が遠縁になったり、異母兄弟間など権利関係の調整が難しい事例が増える可能性があります。実際、65歳以上の一人暮らし高齢者は急増傾向にあり、令和2年時点で男性15.0%、女性22.1%ですが、2050年には男性26.1%、女性29.3%に達すると予測されています。2030年時点でも高齢単身者が生前に十分な手当を残さず他界し、残された遠縁の親族間で遺留分侵害額請求や介護貢献を巡る主張(2019年創設の特別寄与料制度など)が発生するケースが増えるでしょう。このように、相続人の関係性が複雑な相続では調整に時間がかかるため、事前の遺言作成や専門家の関与がより重要になっていきます。

相続不動産の空き家問題と地価ギャップの深刻化

人口減少に伴い、相続による空き家の増加が一段と深刻化すると予想されます。全国の空き家総数は約849万戸(住宅全体の14%超)に上り、過去20年で約1.5倍に増加しています。
この傾向は今後も続き、親世代から子世代への大量相続が発生する2030年前後には空き家数がさらに膨れ上がる懸念があります。山梨県の調査では空き家発生理由の約70%が「相続による取得後の放置」で占められており、相続が主要因となる空き家問題が全国各地で顕在化するでしょう。
特に地方では、実家を継ぐ子供がいないケースや、いても遠方在住で家を使わないケースが増え、相続住宅がそのまま放置され老朽化・管理不全に陥るリスクが高まります。都市部でも親が亡くなった後に実家を誰も利用せず空き家化する例がみられ、相続発生時の空き家率は地方より都市部の方が約1.5倍高いとのデータもあります。こうした空き家問題に対応するため、相続登記の義務化(2024年施行)など所有者特定の取り組みが進められています。義務化によって名義人不明の放置土地・建物は徐々に減少する可能性がありますが、登記後も使い手のいない不動産そのものをどう利活用するかが課題です。2030年までには空き家対策として、行政による空き家バンクの拡充や、相続放棄された不動産を受け入れる仕組み、新たな課税措置(空き家税)などが検討・導入されている可能性があります。
加えて、不動産の評価と実勢価格の乖離も引き続き問題となります。都市部では不動産の実際の取引価格が相続税評価額(路線価)の2倍以上になることも珍しくなく、評価額以上の高額な税負担や分割の難しさに直面するケースが増えます。一方で地方では相続税評価より市価が低い土地も多く、相続しても買い手がつかず塩漬けになる不動産も散見されます。
2030年には、地域ごとの実情に合わせた不動産の評価見直しや利活用策が一層重要な政策課題となっているでしょう。

相続手続のDX化と専門家の役割の変化

2030年に向けて、相続手続を取り巻くデジタル技術・AI活用が飛躍的に進むと考えられます。
例えば地方銀行では既にAI-OCRを導入し、相続関連書類の読み取り・入力を自動化することで年間1,000時間規模の業務削減を実現しました。今後、戸籍謄本や預金残高証明の取り寄せなど煩雑な手続もオンラインで完結し、書類の電子交付や一括照会システムの整備によって、相続に伴う事務負担は現在より大幅に軽減されているでしょう。
また、近年登場した相続相談特化型チャットボット(「相続AI®」等)は24時間365日対応の利点から広く普及し、相続人からの基本的な問い合わせ対応に活用されている可能性があります。専門家(弁護士・税理士など)不足を補うソリューションとしても期待されており、AIが定型的な相談や手続案内を担い、人間の専門家がより高度な紛争対応や節税策の立案に注力するという役割分担が進んでいると考えられます。国税当局もAIによる申告内容の自動チェックやハイリスク事案の抽出を行うなど調査のDX化を進めており、膨大な相続データを解析して脱税リスクを洗い出す電子的な税務調査が当たり前になっているでしょう。

以上のように、2025年時点から推測される2030年の相続事情は、課税・手続面での変化と高齢化に伴う課題の深化が同時進行する形になるでしょう。相続税の課税対象拡大や空き家問題など放置できない問題が表面化する一方で、デジタル技術の活用や制度整備によって解決への道筋も模索されていくと考えられます。社会全体で相続への備えを充実させ、公平で円滑な世代交代を実現していくことが、2030年に向けた重要なテーマとなるでしょう。

果たしてどうなることやら、答え合わせは5年後です。

弁護士 大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
電話:〔045-663-2294〕

弁護士が受任を慎重に検討すべきケース

弁護士として日々の業務に向き合う中で、避けて通れないのが「依頼を受けるかどうか」の判断です。
受任の判断を誤れば、依頼者とのトラブルに発展するだけでなく、事務所経営にも大きな影響を与えかねません。
弁護士一人で運営している事務所や小規模な事務所では、一つのトラブルが経営全体を揺るがすことさえあります。

そこで今回は、「自己防衛」の観点から受任を慎重に検討すべき典型的なケースを整理しました。将来独立を視野に入れている方にも、ぜひ一読いただきたい内容です。

1. 依頼者に関する問題

依頼者の言動や状況は、事件処理の負荷に直結します。以下のような特徴が見られる場合は、慎重な姿勢が求められます。

- 信頼関係の構築が困難な場合
依頼者が事実を偽ったり、重要な情報を意図的に伏せたりすることがあります。こうした場合、事件の進行に支障をきたすだけでなく、後に弁護士の責任が問われるリスクも。
また、弁護士への過度な不信感を抱いている人も要注意です。過去に他の弁護士とトラブルがあった経緯を持つ人は、同様の摩擦を繰り返す可能性があります。こちらの言動を逐一疑うような態度の依頼者とは、良好な協力関係を築くことが困難です。

- 過剰な要求や不当な期待
法的に不可能な要求を何度も繰り返す、弁護士の立場を無視して精神的な慰めまで求めてくるなど、範囲を超えた要望は、最終的に大きなストレスとなります。
常識の範囲を超えた頻度での連絡や、業務に支障をきたすほどの長電話を要求する依頼者は、注意が必要です。
SNSなどに無断で相談内容を公開する依頼者も問題があります。

- 弁護士費用に関する問題
「払える」と言いながら実際には支払いが滞る依頼者も存在します。初回の面談時から、金銭面で不安がある場合は見極めが必要です。
正当な理由がないのに執拗に値引きを求めてくる依頼者も、受任後にトラブルになりやすい傾向があります。
目先の着手金と、その案件が終結するであろう時期の自分自身の単価とを比べて、前者を優先してしまったがために受任してしまうものの、後から振り返って後悔する人が多いです。

- 依頼の目的が不当な場合
「相手に嫌がらせしたい」「復讐したい」といった動機が前面に出ている場合、その目的が達成されなければ必ず不満が生じます。
そうした依頼は、そもそも受けるべきではありません。

2. 事件内容に関する問題

事件の中身自体にリスクがあることもあります。

- 勝訴の見込みが著しく低い場合
客観的に見て勝てる見込みがない事件は、たとえ依頼者が熱意を持っていても慎重な判断が必要です。結果が出なければ、「なぜ受けたのか」と責任を問われるリスクも。
ただし、「依頼者が敗訴のリスクを十分に理解し、それでもなお特定の目的(和解交渉の糸口を探るなど)のために依頼を希望する場合」は、慎重に検討の余地があります。適度にこういった案件で実力をつけていくことも必要だとは思います。キャリアの長い先生はこの辺りがとても上手ですしね。

- 費用倒れの可能性が高い場合
特に経済的利益が少額の債権回収などでは、費用とのバランスが取れないケースがあります。「費用倒れでも構わない」と言われても、その真意は慎重に見極める必要があります。後日、真逆のことを言われてしまうケースも多々あります。

- 専門外・不得意分野の事件
経験や知識が不十分な分野では、適切な対応ができず依頼者に不利益を与えてしまう可能性があります。弁護士の責任としても、自信を持って扱えない案件は断るべきです。
例えば、私自身で言えば、親権が絡む離婚事件は完全撤退しました(扱い方が分かりません)。医療過誤著作権なども、そもそも取扱いができません。

3. 弁護士側の問題

自身の状況が、受任に適していないこともあります。

- 利益相反の可能性
顧問先との関係や、他の事件との関係で利益相反が生じる場合、受任は厳に慎むべきです。チェックは事務所全体で徹底する必要があります。

- 業務過多によるキャパシティオーバー
すでに多数の案件を抱えている中で、新たな事件を受けることで業務の質が下がるようなら、本末転倒です。質の高いサービスを維持するためにも、無理な受任は避けるべきです。また、業務過多になる一歩手前で、補助者を雇う、勤務弁護士を雇うなどの判断も重要だと思います。

- 思想・信条に著しく反する事件
事件内容が自身の倫理観に大きく反する場合、誠実に職務を全うすることが困難になります。精神的な負担も含め、判断材料とすることが重要です。

受任前に意識すべきこと

  • 面談での人柄観察: 話し方、態度、価値観など、依頼者の人物像をよく観察します。
  • 事実関係の裏取り: 依頼者の話を鵜呑みにせず、証拠や第三者の証言を確認。
  • 依頼目的の明確化: 何を望んでいるのかを具体的にヒアリングします。
  • 見通しとリスク説明: 勝訴の可能性だけでなく、敗訴リスクや費用倒れの可能性についても率直に伝えます。
  • 契約内容の明文化: 委任契約書には業務範囲・費用・解約条件を明記し、口頭での合意に頼らないようにします。
  • 自身のリソース確認: 忙しさに流されて無理に受けない。自分の余力を正直に判断します。
  • 断る勇気を持つ: トラブルが予見される場合は、毅然とした態度で断ることも弁護士の責任です。

まとめ

すべての依頼に応じることが、弁護士のあるべき姿とは思いません。適切な案件を選び、リスクのあるものは初期段階で見極め、受任を断る判断も必要です。
断ることは、決して依頼者に対する冷たい対応ではなく、信頼関係を築くための誠実な対応です。むしろ安易に引き受けたことで関係が悪化すれば、それこそ依頼者にとっても不幸な結果を招きます。また一部の高負荷案件によって、全体の作業効率が落ちれば、他の依頼者にも迷惑をかけてしまいます。
質の高いリーガルサービスを提供し続けるためには、「受けない」判断も重要な業務の一部です。自分自身を守りながら、長期的に依頼者に貢献できる体制を整える。そのためにも、受任の判断は常に冷静かつ慎重であるべきだと感じています。

弁護士の仕事は、専門性が高く、依頼者の人生に深く関わるため、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかる場面が少なくありません。
目先の利益や評価にとらわれず、ご自身のペースを守り、リスクを適切に管理しながら、持続可能な働き方を意識することは、非常に重要だと思います。

「顧客を選ぶ者は顧客に選ばれる。
顧客を選ばない者は顧客にも選ばれない」

「細く長く」仕事を続けていく、これも大事な能力だと思います。

弁護士 大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
電話:〔045-663-2294〕

2027年運用開始へ――民事判決データベース化がもたらす司法の透明性とAI活用の未来

  • はじめに――判決データベース化という新たな一歩
  • 判決文のデータベース化とは何か?
  • AIと判例データの融合――法的判断の可視化へ
  • プライバシーと情報の非識別化(仮名処理)の重要性
  • 法的サービスの進化と一般市民への影響
  • 課題と展望――本制度が目指す未来

はじめに――判決データベース化という新たな一歩

2025年5月23日、国会において、民事裁判の判決文をデータベース化することを定めた新法が、与野党の賛成多数で可決・成立しました。これは、法的判断の透明性を高めると同時に、人工知能(AI)など先端技術を活用した判例分析を可能にする画期的な法整備です。これまで一部の注目事件を除き、一般の判決文の閲覧は非常に限られていました。しかし、2027年の運用開始を目指すこの制度によって、年間約20万件に及ぶ民事判決が、構造化された形で社会全体に提供される道が開かれたのです。

この新法は、2022年に成立した改正民事訴訟法による民事手続きの全面IT化の流れを受けて設計されたもので、紙媒体で作成されていた判決文が、2026年5月までに電子化されることを前提としています。こうした技術的基盤が整備されたことにより、判決文の電子データを有効活用する仕組みとして、今回のデータベース制度が誕生しました。

これまで、裁判所のウェブサイトで閲覧できる判決は全体の数%に過ぎず、それ以外の判決にアクセスするには、裁判所に直接出向いて申請する必要がありました。この非効率的なプロセスは、研究者や弁護士にとっても大きな負担となっていました。

新制度の導入により、判決文はAIによる分析が可能な形式で管理され、統計的傾向の把握や法的予測の向上が期待されます。さらに、保険会社や弁護士事務所、大学研究機関など、法制度に関わる多様なプレイヤーがこのデータを活用することにより、日本の司法の透明性と効率性は大きく前進することになるでしょう。

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「所有者不明土地」問題と相続登記義務化から1年:進展と課題、そして未来への提言

なぜ「所有者不明土地」が増えたのか?

「所有者不明土地」とは、登記簿上の所有者の所在が分からなかったり、そもそも登記がされていなかったりする土地を指します。令和4年度時点で、全国の土地の区画(筆)の24%が所有者不明とされており、その総面積は九州本土を上回る規模に達していると試算されています。この問題がなぜここまで深刻化したのかを理解するには、日本の社会構造や相続制度、そして土地に対する価値観の変化を踏まえる必要があります。

まず大きな原因の一つは、「相続登記の任意性」にありました。相続によって土地を取得しても、登記を行う義務はこれまで存在せず、放置していても特に罰則はありませんでした。その結果、登記を行わないまま数十年が経過し、相続人が多数に分散して誰が真の所有者なのか分からなくなったケースが続出しています。

さらに、戦後の高度経済成長期に地方部を中心に進められた「財テク型の土地購入」も、問題の背景にあります。当時は土地神話が根強く、「持っていれば価値が上がる」という信念のもと、利用予定のない山林や農地が大量に購入されました。しかし、その後の人口減少や都市部への人口集中により、こうした土地は無用の長物と化し、相続されても管理費や税負担ばかりがかさむ「お荷物」として扱われるようになります。

また、相続人の多様化も見逃せません。高齢化社会の進行により、相続が発生するたびに相続人が増え、兄弟姉妹やその子供、さらに甥姪などに権利が分散していきます。数世代に渡って登記が放置された場合、相続人が数十人にのぼることもあり、もはや合意形成自体が困難になってしまうのです。

こうした状況下では、行政もその土地の管理・活用が難しくなり、公共事業の進行や災害時の避難所整備にも大きな支障をきたす恐れがあります。加えて、誰が所有者か分からない土地は、不正利用の温床ともなり、「地面師」と呼ばれる詐欺グループによって偽装売買されるリスクもあります。

このように、「所有者不明土地」は単なる個人の相続の問題にとどまらず、社会全体に影響を及ぼす深刻な課題となっているのです。

相続登記義務化の成果と課題

2024年4月に施行された「相続登記の義務化」は、日本が長年抱えてきた所有者不明土地問題に対する大きな一歩として注目されました。この制度は、相続によって土地や建物の所有権を取得した場合、相続を知った日から3年以内に登記を行うことを義務づけるものです。義務に違反した場合には、10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。

この制度導入の効果は徐々に現れており、法務省の発表によれば、令和5年度と比較して相続登記の件数は約1割増加しました。これは、長年手つかずだった相続登記に対する国民の意識が確実に変わり始めた証拠とも言えます。「罰則がある」と聞くと、日本人特有の「きちんとしなければ」という心理が働きやすく、結果として制度が機能しやすくなります。

また、実際に登記を行った人々の声として、「これで将来の相続人に迷惑をかけずに済む」「ようやく気がかりが解消された」といった前向きな意見も聞かれます。制度が「きっかけ」となり、放置されていた課題に向き合う動機づけを提供している点は評価に値します。

しかし一方で、制度が想定するほどスムーズに進んでいない現実もあります。最大の理由は、相続登記が「簡単ではない」ことです。具体的には、以下のような課題が立ちはだかっています。

遺産分割協議が進まない場合

 相続人が複数いるケースで、相続人間の話し合い(遺産分割協議)がまとまらなければ、登記ができません。親族間の関係性や意思の違いがボトルネックになります。

必要書類の取得が煩雑

 登記には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍、印鑑証明、遺産分割協議書など多くの書類が必要です。特に高齢の相続人にとっては非常に負担が大きい作業です。

費用がかかる

 登記手続き自体は無料ではなく、登録免許税や司法書士への報酬が発生します。「価値のない土地にお金を払いたくない」と考える人が多いのも現実です。

制度の認知度が不十分

 法務省の調査によると、登記義務化の認知度は73%と高めですが、まだ4人に1人は知らないという結果です。特に高齢層やインターネットを使わない層への情報浸透が課題です。

さらに、制度の過料規定についても、「実際に罰則が適用された事例はほとんどない」とされており、実効性の面でやや疑問も残ります。ただし、これは「義務化が形骸化している」というよりは、まずは「自主的な対応を促す段階」として見ておくべきでしょう。

以上のように、相続登記義務化制度は一歩前進を遂げたものの、その効果を最大化するためには、より一層の周知活動、手続きの簡素化、経済的支援策の導入などが求められているのが現状です。

国庫帰属制度の実態と限界

「相続登記義務化」と並ぶもう一つの柱が、2023年4月に施行された『国庫帰属制度』です。この制度は、相続によって取得した不要な土地を相続人の意思で国に引き取ってもらうことができるという、これまでにない画期的な仕組みです。これまで日本では、一度相続した土地を「放棄する」制度がなかったため、価値のない土地であっても相続人は維持管理の責任を負わざるを得ませんでした。国庫帰属制度は、そうした状況に対する抜本的な対策として注目されました。

制度の概要と仕組み

制度を利用するには、相続人が法務局に申請し、一定の条件を満たした上で承認を受ける必要があります。
主な条件は以下の通りです:
①建物が存在しない土地
②境界が明確で、他人と争いのない土地
③汚染や崩落の危険がない土地
④通常の管理や処分に特別な負担を要しない土地

申請には1筆あたり14,000円の審査手数料が必要です。また、承認された場合でも、10年分の管理費相当額(基本20万円)の負担金を納めなければなりません。

利用の現状と数字で見る実態

法務省によると、2023年4月から2025年2月までの間に3,462件の申請がありましたが、承認されたのはわずか1,430件です。つまり、約4割程度しか承認されていないということになります。制度に対する期待は大きいものの、実際には申請の段階で挫折するケースが多く、利用のハードルは非常に高いのが現実です。

さらに、2024年9月に実施されたインターネット調査では、**相続登記義務化の認知度は73%**であったのに対し、**国庫帰属制度の認知度はわずか33%**にとどまっています。制度の存在自体を知らない人が多く、情報発信の不足も深刻な問題です。

制度の限界と利用者のジレンマ

この制度には、いくつかの根本的な限界が存在します。まず、**「引き取ってもらいたい土地ほど、条件を満たさない」**という矛盾です。たとえば山林や農地で、境界が曖昧であったり、建物の基礎や残置物があったりすると、審査で弾かれる可能性が高くなります。つまり、真に「困っている土地所有者」が制度の恩恵を受けられないケースが多いのです。

また、10年分の管理費を納めるというコスト負担も重いと感じる人が少なくありません。特に、土地そのものに価値がなく、売却も難しい場合、20万円の負担金は心理的・経済的に大きなハードルとなります。

さらに、制度の審査には一定の期間がかかるため、「早く手放したい」という希望に沿わないケースもあります。加えて、書類の準備や手続きが煩雑で、専門家の助けが必要になる場合も多く、高齢者や知識のない一般市民には実質的に使いづらい制度になってしまっているのが現状です。

制度の意義とこれからの課題

とはいえ、国庫帰属制度は、これまで一度も存在しなかった「不要な土地を国が引き取る」という枠組みを制度化したという点で、画期的な一歩です。利用件数はまだ少ないものの、国が土地所有の最終的なセーフティネットを設けたことで、「相続しないという選択肢」が制度的に可能になったのは大きな進展です。

今後は、制度のさらなる周知とともに、手続きの簡素化、要件緩和、費用の軽減などが求められます。また、引き取りが認められない土地についても、市町村や民間団体が関与できる「第二の受け皿」を用意することが、制度を実効性あるものに育てるために必要でしょう。

悪徳業者と新たなリスク

相続登記義務化や国庫帰属制度といった新たな制度が始まったことで、相続人の間に「土地を早く処分したい」「面倒な手続きを何とかしたい」といった心理的な焦りが生まれています。こうした不安や情報不足につけ込む形で、悪徳業者の存在が深刻な問題となってきています。

増加する相談件数とその手口

国民生活センターによると、令和5年ごろから制度に便乗した不審な勧誘や詐欺まがいの事例が増加しており、土地相続に関するトラブルの相談件数が目立っているとのことです。

典型的な手口は以下のようなものです:
・「あなたの土地、買い手が見つかっています」と言って接近
・「売却には測量や広告が必要」として数十万円の手数料を要求
・実際には買い手もおらず、何もせずに音信不通
・国庫帰属制度の申請代行と称して高額な手数料を取り、申請を放置
・不要な土地と引き換えに、別の価値の低い土地を購入させる「抱き合わせ商法」

特に被害に遭いやすいのが、高齢の相続人や不動産知識のない一般人です。田舎の山林や原野を相続し、どうすれば良いかわからず困っている人々にとって、「処分してくれる」という甘言は魅力的に映るのです。

具体的な被害事例

実際の事例として、大阪府池田市の70代の女性は、両親が購入した岡山県の山林を相続しました。登記は済ませたものの、長年売却のあてがなく困っていたところ、「50万円で売ってくれる人がいる」と言われ、測量費や契約準備金などの名目で数十万円を前払い。しかし、その後連絡が取れなくなり、土地も売れないまま支出だけが残ったといいます。

また別の事例では、悪徳業者が「不要な土地を手放せますよ」と近づき、実際には管理が大変な山奥の土地を別途購入させる契約を結ばせていたというケースもあります。処分のつもりが、さらに厄介な不動産を抱え込むことになってしまったのです。

背景にある「焦り」と「無知」

こうした被害の背景には、相続人たちの「早く処分したい」という心理が大きく影響しています。制度変更によって過料のリスクが出てきたことも、不安を煽る要因になっています。また、相続登記や国庫帰属制度の内容が複雑であるため、制度を十分に理解できていない人がほとんどであり、その知識のギャップに付け込まれるのです。

司法書士や弁護士など、信頼できる専門家に早めに相談することが防衛策になりますが、「誰に相談すればいいのか分からない」「相談料が高そうで不安」と感じる人も多く、自力で解決しようとしてトラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。

対策と今後の課題

このような被害を防ぐためには、以下のような対策が必要です:

地方自治体や法務局による制度説明会・無料相談窓口の拡充
国民生活センターによる注意喚起の強化と被害事例の周知
・悪質業者を取り締まるための法整備と監視体制の強化
・登記制度に関する一般向けパンフレットや動画教材の普及

また、制度利用時には「まずは公的な機関に相談を」という啓発活動も不可欠です。国が制度を作るだけでなく、その制度を安全かつ正しく利用できる環境整備が求められています。

新制度「相続人申告登記」とその役割

相続登記の義務化がスタートして1年。法務省はさらに現実に即した対応として、**2024年(令和6年)4月から「相続人申告登記制度」**を新たに導入しました。これは、遺産分割協議がまとまらず相続登記ができないケースにおいて、一定の情報だけを申告すれば過料の対象にならないという救済的な制度です。

制度の背景と必要性

相続登記の義務化により、登記を怠った相続人には過料が科される可能性があります。しかし、現実には「相続人同士の話し合いが進まない」「書類がそろわない」といった理由で、登記が3年以内に完了しないケースも多数あります。

こうした現実とのギャップを埋めるために設けられたのが、「相続人申告登記」です。この制度は、相続が発生したことを知ってから3年以内に、法務局に自分が相続人であることを届け出ることで、過料を免れる仕組みとなっています。

相続人申告登記のポイント

提出先:管轄の法務局
提出内容:被相続人(亡くなった方)の氏名・住所・死亡年月日、自身が相続人であること
添付書類:戸籍謄本などの最低限の証明書類
手数料:登記自体は無料(登録免許税は非課税)

申告後、登記簿に「相続人である旨」が記録されることで、登記義務を形式的に果たしたと見なされ、正式な登記が完了していなくても過料の対象にはならないという特徴があります。

利用者にとってのメリット

この制度は、以下のような状況にある人にとって、大きな救済手段となります。

相続人間で意見が分かれている場合
 → 遺産分割がまとまらなくても、とりあえず自分の立場だけは登録できる。

経済的にすぐに登記ができない場合
 → 登録免許税や司法書士報酬の負担が避けられる。

知識がなくても簡単な書類で申請できる
 → 書類のハードルが低く、一般人にも取り組みやすい。

特に高齢者や相続に慣れていない人々にとって、「まず申告だけでも済ませれば安心」という制度設計は大きな意味を持ちます。自治体によっては、申請方法を案内するパンフレットやサポート窓口を設ける動きも出てきており、相続登記への第一歩として活用しやすい制度になっています。

制度の限界と今後の展望

ただし、相続人申告登記はあくまで登記の義務を一時的に「先送り」する制度であり、相続財産の名義変更が完了するわけではありません。そのため、いずれは正式な相続登記を行う必要があります。

また、相続人申告登記があることで「とりあえずこれだけやっておけばいい」と考える人が増え、登記そのものをさらに後回しにするリスクも指摘されています。制度が「怠慢の温床」にならないよう、今後は一定期間後に正式な登記を促す仕組みや、遺産分割協議を支援する体制の整備も並行して求められます。

制度の評価

相続人申告登記制度は、「すぐに動けない人たち」にとっての救済策であると同時に、登記制度全体の透明性を高める役割も担っています。すでに登記簿に「相続人の存在」が明記されることで、不正利用や登記放置のリスクが抑えられるといった副次的な効果も期待されています。

今後は、より多くの人に制度を知ってもらうための周知活動と、制度をきっかけに正式な登記へとつなげる「橋渡し」の仕組みづくりが求められるでしょう。

今後求められる制度と仕組み

これまで相続登記義務化、国庫帰属制度、そして相続人申告登記と、政府は段階的に制度を整備してきました。しかし、依然として「不要な土地が処分できない」「制度はあるが使いにくい」「悪徳業者の被害が防げない」といった課題が残っており、根本的な解決には至っていません。今後は、これらの制度を補完し、土地の流動性を高める新たな仕組みの整備が不可欠です。

不要な土地を「循環」させる仕組み

弁護士の荒井達也氏が提案するように、今後必要なのは、不要な土地を「流通」させるための仕組みです。現在、相続人が国庫帰属制度に申請しても、条件を満たさない場合は却下され、他に選択肢がない状況に陥ることが多いのが実情です。

たとえば、国庫帰属制度に申請された土地の情報をオープンデータとして一般に公開し、引き取りを希望する民間人や法人、市町村が手を挙げられるような「土地マッチングシステム」の整備が求められています。これは、不動産の“もったいない”を解消するだけでなく、地域活性化にもつながる可能性を秘めています。

市町村単位の小規模な受け皿制度

国がすべての不要土地を引き取ることは現実的ではありません。そこで期待されるのが、市町村単位での引き取り制度や協力スキームです。自治体ごとに地域の状況に応じた条件で引き取り、後に用途を見出して再活用するという流れが考えられます。

すでに一部の自治体では、空き家バンクのような制度が始まっており、これを「空き地」「原野」「山林」にも拡大していくことが検討されています。こうした取り組みが全国的に広がれば、不要な土地が地域の資源として活用される可能性が高まります。

法整備と予算措置の必要性

制度を本格稼働させるには、国による法整備や予算措置が不可欠です。具体的には:

地方自治体による土地取得制度への財政支援
・土地マッチングプラットフォームの開発補助
・一定条件の土地については引き取り時の負担金軽減や免除制度の導入

これらの施策によって、不要な土地が放置されることなく、社会的・経済的に再活用される道筋が作られていくでしょう。

「土地を持つ責任」と「手放す権利」のバランス

最後に重要なのは、これからの土地政策において「所有の自由」と「管理責任」、そして「放棄の権利」のバランスをいかに取るかです。これまでは土地を所有することが当然とされてきましたが、時代の変化により、使い道のない土地を持ち続けることがリスクにもなり得る時代となりました。

所有者が責任を持って土地を管理できる社会を目指すには、「放棄すること」や「引き渡すこと」が負の烙印とならないよう、社会的な意識改革と制度面での支援が必要です。

おわりに:相続登記義務化1年を経て私たちが考えるべきこと

相続登記の義務化が施行されてから1年が経過し、「所有者不明土地」という日本社会が長年抱えてきた課題に対して、一歩踏み出すための環境が整いつつあります。登記の件数は増加し、国庫帰属制度や相続人申告登記などの新制度もスタートし、「動き出した」こと自体は確かな前進と言えるでしょう。

しかし、その一方で、制度の利用が進まない現実も明らかになりました。煩雑な手続き、高額な費用、制度の認知度不足、そして悪徳業者の暗躍——これらは、制度設計の盲点を突くように、問題を新たな方向へと拡大させています。つまり、制度は整っても、それを実際に使える人が限られてしまっているのです。

今、日本は「土地を所有すること」の意味が根底から問われる時代に入っています。高度経済成長期の「土地神話」はすでに過去のものとなり、使い道のない土地、活用されない土地は、「資産」ではなく「負債」となる可能性があることが広く知られるようになりました。

この現実の中で、必要なのは「土地を持ちたい人」と「手放したい人」が出会える場をつくることです。ただ捨てるだけでなく、活用を見出す。そのためには、行政の制度整備だけでなく、民間の知恵、ITの力、そして市民の意識改革が欠かせません。

また、制度を整えるだけで終わるのではなく、「安心して相談できる窓口」があることも大切です。不安につけ込む業者ではなく、信頼できる専門家とつながる仕組みが、すべての人に開かれている必要があります。

最後に、私たち一人ひとりが「自分が土地を相続する立場になったらどうするか?」を今から考えることが、未来の混乱を避ける第一歩です。自分の家族、親族と早めに話し合い、登記や処分の方法を共有しておくこと。それが、子や孫の世代に問題を先送りしないための最も効果的な対策なのです。

相続登記の義務化は、単なる法律の変更ではなく、土地をどう使い、どう引き継ぐかという「暮らしと社会の在り方」を問い直す転換点です。土地は持つことが目的ではなく、活かすことが本質。今後の社会が、「活用される土地」「つながる制度」「支え合う仕組み」を育てていけるかどうかが、私たちの未来を大きく左右するでしょう。

弁護士 大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
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空き家対策と不動産業の新サービス:国交省の最新議論を深掘り

1. はじめに

2024年2月14日、国土交通省社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(第42回)が開催されました。この会合では、不動産業による「空き家対策推進プログラム」の進捗状況や、不動産取引に関する新たなサービスの現状について議論が交わされました。

日本では近年、少子高齢化や人口減少に伴い、空き家問題が深刻化しています。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によると、日本全国の空き家率は13.6%に達しており、今後さらに増加する見込みです。こうした状況を受けて、不動産業界と行政が協力し、空き家の有効活用や市場の適正化に向けた取り組みを進めています。

また、不動産取引に関しても、従来の売買や賃貸の枠を超えた新しいサービスが登場しています。「不動産引取サービス」や「住宅リースバック」など、所有者の事情に応じた柔軟な取引方法が増えている一方で、トラブルや消費者保護の問題も指摘されています。

2. 空き家対策プログラムの進捗状況

日本全国で深刻化する空き家問題に対応するため、不動産業界と行政が連携し、「不動産業による空き家対策推進プログラム」が進められています。このプログラムは、不動産事業者が空き家の利活用を促進し、地域の価値向上を図ることを目的としています。今回の不動産部会では、その進捗状況について国土交通省から説明がありました。

2-1. 総合相談窓口の整備と媒介報酬の見直し
不動産業界団体が中心となり、空き家所有者が気軽に相談できる「総合相談窓口」の整備が進められています。空き家問題は所有者の高齢化や相続の問題と密接に関連しており、売却や活用の決断には時間がかかるケースが多いです。そのため、専門家が対応する相談窓口の充実が求められています。

また、2024年7月から施行された「媒介報酬規定の見直し」も注目されています。従来、宅地建物取引業者(不動産仲介業者)の報酬は物件価格に比例して設定されていましたが、特に地方部では、低価格の空き家の取引が採算に合わないという問題がありました。この点を改善するため、新たな媒介報酬体系が導入されました。

2-2. 成果としての成約件数の増加
この新制度の開始以降、全国的に「成約価格800万円以下の宅地・建物」の取引件数が5カ月連続で前年同月を上回ったことが報告されました。これは、報酬見直しによって不動産業者が低価格物件の仲介を積極的に行うようになった結果と考えられます。特に地方部では、これまで市場に流通しにくかった物件の売却が進んでいるとみられます。

2-3. 地方自治体との連携と成功事例
空き家問題の解決には、民間の不動産業者だけでなく、地方自治体との協力が不可欠です。今回の部会では、官民連携の具体的な成功事例が5つ紹介されました。例えば、ある自治体では、不動産業者と協力して空き家のデータベースを作成し、移住希望者向けの情報提供を強化する取り組みが進められています。また、福祉部門と連携し、高齢者が住み続けることが困難になった住宅のマッチングを支援する仕組みも導入されています。

2-4. 委員の意見と今後の課題
委員からは、今回のプログラムについて「不動産事業者を地域価値向上のプレーヤーとして位置づけた点は評価できる」との意見が出ました。また、「媒介報酬の見直しが宅建業者の前向きな取り組みを促進しており、業界団体の物件サイトでも800万円以下の物件登録が増えている」との指摘もありました。

一方で、「空き家所有者は決断までに時間がかかるため、気軽に相談できる窓口のさらなる充実が必要」「独居高齢者の増加を考えると、空き家になる前の段階での対策(空き家予備軍のケア)が今後の課題になる」といった意見も挙がりました。

3. 不動産業界の新たなサービス形態

近年、不動産市場では従来の売買・賃貸の枠を超えた新たな取引形態が登場しています。今回の不動産部会では、「不動産引取サービス」や「住宅リースバック」などの新サービスについて議論が行われました。これらのサービスは、不動産所有者の事情に応じた柔軟な選択肢を提供する一方で、消費者保護の観点から注意すべき点も指摘されています。

3-1. 不動産引取サービスの概要と問題点
① 不動産引取サービスとは?
「不動産引取サービス」とは、不動産の所有者が事業者に金銭を支払い、その不動産を引き取ってもらう仕組みです。これは、通常の売却とは異なり、所有者が売却代金を受け取るのではなく、むしろ事業者に対して「引取料」を支払う点が特徴です。

このサービスは、特に市場価値が低い物件や、維持管理が困難な不動産を処分したい所有者にとって有用とされています。例えば、過疎地の空き家や、相続したが利用予定のない老朽化した住宅などが対象となることが多いです。

② 想定される問題点と懸念
このサービスにはいくつかのリスクがあり、国土交通省も以下の点について懸念を示しました。

・所有権移転登記が行われないリスク
事業者が引取を約束したものの、所有権移転の登記を行わず、所有者が引き続き税金や管理責任を負うケースが考えられる。

・市場価格で売却可能な物件が適切に扱われない可能性
本来は市場で売却できるはずの物件が、不動産引取サービスに回され、所有者が不必要な負担を負うケースが発生する恐れがある。

・引取後の適正な管理の確保
引き取られた不動産が放置され、適切に管理されない場合、地域の景観や防犯面で悪影響を及ぼす可能性がある。

③ 委員の意見
委員からは、「このサービスは国の『相続土地国庫帰属制度』の穴を埋める役割を果たす可能性があるが、トラブルの発生を防ぐために慎重な制度設計が必要」との意見が出ました。また、「コンパクトシティの推進を考えると、将来的にマイナス価格での不動産取引が増える可能性があるため、実態の把握が重要だ」との指摘もありました。

3-2. 住宅リースバックの現状と課題
① 住宅リースバックとは?
「住宅リースバック」とは、不動産所有者が自宅を事業者に売却し、その後も賃貸として住み続けることができる仕組みです。これにより、所有者は自宅を手放すことなく資金を得ることが可能になります。主に、老後資金の確保や、急な資金需要に対応する手段として利用されています。

② 現状とトラブルの増加
住宅リースバックは市場に広まりつつありますが、国民生活センターなどへの相談件数は依然として増加しています。国土交通省の調査によると、リースバックを提供する事業者の数が増えており、契約形態も多様化しているため、利用者が契約内容を十分に理解せずにトラブルに巻き込まれるケースがあるとのことです。

③ 主な課題と懸念点
・契約形態が不透明である
一般的な賃貸借契約とは異なり、リースバックでは「売却後に賃貸契約を結ぶ」形をとるため、契約内容によっては借主の権利が弱くなる可能性がある。
例えば、「3年の定期借家契約」や「賃貸人による修繕義務なし」といった条件の場合、実質的には「3年後に退去を求められる売買契約」と解釈されることもあり、利用者が十分に理解せず契約してしまうリスクがある。

・買い取った事業者の運用方法が不透明
事業者が買い取った後、再販目的で所有者に高額な家賃を設定するケースが報告されている。
最初の契約では「長期間住み続けられる」と説明されていたのに、短期間で退去を迫られる事例も発生している。

・消費者保護のための法整備が求められる
委員からは、「リースバックに関する消費者保護の法整備が必要ではないか」との指摘があった。
「契約類型ごとに、どのような重要事項説明が必要なのかを明確にするためのガイドラインを作成すべき」との提案も出された。

3-3. まとめ:新サービスの今後の展望
不動産引取サービスや住宅リースバックは、所有者の多様なニーズに対応する有益な仕組みである一方で、契約内容の不透明さやトラブルのリスクも無視できません。国土交通省は今後、これらのサービスの適正な運用を促進するため、事業者に対してより丁寧な説明を求めるとともに、必要に応じた法整備の検討を進める方針を示しました。

4. 今後の課題と展望

今回の不動産部会では、空き家対策の推進や新たな不動産取引サービスの現状が議論されましたが、今後の課題として以下の点が挙げられました。

4-1. 空き家「予備軍」への対策と独居高齢者支援の重要性
現在、日本では空き家問題が深刻化していますが、今後さらに増加が見込まれる「空き家予備軍」への対策も急務です。

① 増加する空き家予備軍とは?
空き家予備軍とは、現在はまだ居住されているものの、将来的に空き家になる可能性が高い住宅を指します。特に、高齢者の単身世帯が多い地域では、所有者が亡くなったり施設へ入居したりすることで、空き家化が加速すると考えられています。

② 具体的な対策の必要性
委員からも「空き家所有者は売却の決断に時間がかかるため、気軽に相談できる窓口が重要」との意見が出ており、空き家になる前の段階での相談体制の充実が求められています。

また、高齢者が所有する住宅について、早期の売却支援や賃貸活用を促す制度の整備が重要です。例えば、リバースモーゲージ(住宅を担保に融資を受ける制度)の利用促進や、シェアハウスへの転用支援などが考えられます。

4-2. 不動産取引の透明性向上と法整備の可能性
① 不動産引取サービスへのルール作り
不動産引取サービスは、所有者にとって新たな選択肢となる一方で、市場で売却可能な物件が不当に低い価格で処分されるリスクが指摘されています。今後、契約内容の透明性を確保し、所有者が適切な判断をできるよう、事業者に対するガイドラインの策定が必要となるでしょう。

② 住宅リースバックの契約形態の整理
住宅リースバックについても、契約の種類によっては消費者が不利な条件で契約を結ばされる可能性があります。特に、「定期借家契約」との組み合わせが問題視されており、消費者が契約内容を十分に理解できるよう、法的な枠組みを整理する必要があります。

委員からは、「契約形態ごとにどのような重要事項説明が必要なのかを明確にするため、ガイドラインを作成すべき」との意見が出ており、消費者保護の観点から国の関与が強まる可能性があります。

4-3. DX(デジタルトランスフォーメーション)による不動産業の効率化
国土交通省は、不動産業界のデジタル化を推進することで、生産性の向上を図る方針を示しました。具体的には、不動産取引の電子契約の普及や、AI・ビッグデータを活用した価格査定の精度向上が期待されています。

① 賃貸住宅管理業法の施行状況とDXの活用
賃貸住宅管理業法が施行され、不動産業者の管理業務の適正化が求められています。この流れを受けて、DXを活用した契約管理システムの導入が進んでいます。

② 実証事業の開始
国土交通省は、不動産業務におけるDXの効果を検証するための実証事業を開始すると発表しました。今後、オンラインでの契約手続きや、AIによる市場分析などの活用が進むことで、不動産取引の効率化と透明性向上が期待されます。

5. まとめ

今回の不動産部会では、「空き家対策推進プログラムの進捗状況」と「不動産業界の新たなサービス形態」について、具体的なデータや事例を交えながら議論が行われました。本記事では、それぞれのテーマについて詳しく解説してきましたが、最後に今後の展望を整理しておきます。

5-1. 空き家対策の進展と今後の課題
空き家問題は、日本の不動産市場における喫緊の課題のひとつです。2024年7月に施行された媒介報酬規定の見直しにより、低価格帯の空き家の流通が改善され、不動産業者が積極的に取り組みやすい環境が整いつつあります。

しかし、空き家の発生を未然に防ぐためには、空き家「予備軍」への対応が不可欠です。高齢化が進む中、独居高齢者が増えている現状を踏まえ、「早期相談窓口の拡充」や「シェアハウス・賃貸転用の支援策」など、より包括的な対策が求められています。

また、地方自治体との連携を強化し、空き家データベースの整備や移住支援策を進めることも重要です。空き家を単に処分するのではなく、「地域活性化の資源」として活用する視点が今後のカギとなるでしょう。

5-2. 新たな不動産サービスの透明性向上が不可欠
「不動産引取サービス」や「住宅リースバック」などの新たな取引形態は、所有者にとって柔軟な選択肢を提供する一方で、契約の透明性が課題として浮上しています。

・不動産引取サービスは、適切な価格での売却が可能な物件が不当に処分されるリスクがあるため、消費者が十分な情報を得た上で判断できる仕組み作りが求められます。

・住宅リースバックについては、契約形態によっては借主の権利が著しく制限されるケースがあるため、消費者保護のための法整備やガイドラインの策定が急務です。

国土交通省も、今後、これらのサービスの適正運用を促進するため、事業者に対する説明義務の強化や、契約形態ごとのルールの明確化を検討する方針を示しており、今後の法改正やガイドラインの整備に注目が集まります。

5-3. 不動産業界のDX化が進む可能性
不動産取引の効率化と透明性向上を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も、今後の不動産業界の重要なトレンドとなるでしょう。

・電子契約の普及により、契約手続きがスムーズになり、消費者の利便性が向上
・AIやビッグデータを活用した市場分析により、適正な価格設定や売却戦略の立案が容易に
国土交通省の実証事業を通じて、新たなデジタルツールの活用が進む
不動産業界のDX化が進めば、より迅速で公平な取引が可能になり、消費者が安心して不動産売買を行える環境が整備されることが期待されます。

5-4. これからの不動産市場の方向性
国土交通省の議論を踏まえると、日本の不動産市場は以下の3つの方向へと進んでいくことが予測されます。

・空き家対策の深化
空き家流通の促進と、空き家「予備軍」への早期対応
地方自治体や福祉機関との連携強化
不動産取引の透明性向上

・不動産引取サービスや住宅リースバックの適正化
消費者保護のためのルール策定
DX化による不動産業務の効率化

・電子契約やAI査定の普及
不動産取引のデジタル化によるコスト削減

今後、これらの施策がどのように実施され、不動産市場にどのような影響を与えるのか、継続的なウォッチが必要です。

5-5. まとめ:変革の時代を迎える不動産業界
今回の不動産部会での議論を通じて、日本の不動産市場は今まさに大きな転換点を迎えていることが明らかになりました。

・空き家対策は進展しているものの、より包括的な支援策が必要
・新しい不動産サービスの拡大には、契約の透明性確保が不可欠
・DXの推進によって、不動産取引の利便性が大幅に向上する可能性

消費者や不動産業者にとっても、これらの動向を理解し、適切に対応することが重要です。特に、空き家の所有者や高齢者は、制度の変更や新しいサービスについての正しい知識を持つことが、今後の資産管理において大きな意味を持つでしょう。

弁護士 大石誠
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M&A市場の最新動向:警戒感の高まりと規制強化の必要性

  • 1. はじめに
  • 2. 過去5年間のM&A実施状況
  • 3. 今後5年間のM&Aへの関与意向
  • 4. 買い手・売り手の重視するポイント
  • 5. M&Aにおける相談先
  • 6. M&Aに対する規制強化の必要性
  • 7. 最新の規制動向と政府の対応
  • 8. まとめと今後の展望

1. はじめに

近年、M&A(企業の合併・買収)は日本の企業経営において重要な選択肢の一つとなっている。特に、後継者不足に悩む中小企業にとっては、事業承継の手段としてM&Aが有効とされ、多くの企業が関心を寄せている。一方で、近年のM&A市場には懸念点も浮上しており、悪質な買収や不適切な仲介業者の存在が問題視されるようになってきた。

2024年12月から2025年1月にかけて行われた最新の調査によると、過去5年間でM&Aに関与した企業は全体の11.1%にとどまり、今後5年間でM&Aに関与する可能性があると考える企業も29.2%と、前回調査より減少している。この背景には、買収側の不適切な行為や仲介業者の過剰営業、そしてM&A全体に対する企業の警戒感の高まりがあると考えられる。

また、約6割(59.4%)の企業がM&A市場における規制強化の必要性を感じているという結果も出ており、政府や公的機関による適切な介入とルール整備が求められている。

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【横浜の弁護士解説】相続探偵1話から学ぶビデオ遺言の有効性とは?

はじめに

「遺言書」と聞くと、厳格なルールがあるイメージがあるかもしれません。しかし、最近のドラマでは、これまであまり知られていなかった遺言の問題が取り上げられることが増えています。

今クール放送のドラマ「相続探偵」第1話でも、遺言を巡るトラブルが発生しました。
亡くなった被相続人のビデオ遺言が発見されるシーンがありましたが、実際の法律ではビデオ遺言は有効なのでしょうか?
また、ドラマの中では複数の遺言書が見つかり、相続人たちが混乱する場面もありました。もし現実に複数の遺言書が発見された場合、どの遺言が有効になるのでしょうか?

この記事では、「相続探偵」第1話をもとに、ビデオ遺言の有効性と、複数の遺言書が見つかった場合の法律関係について、横浜の弁護士が詳しく解説します。相続トラブルを防ぐためのポイントも紹介するので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

横浜でビデオ遺言は有効?法律上の実態を解説

テレビドラマ『相続探偵』第1話「或る小説家の遺言」では、著名なミステリー作家・今畠忍三郎(橋爪功)が亡くなり、彼の遺産相続を巡るトラブルが描かれます。
今畠の遺産は三人の娘(長女:市香、次女:双葉、三女:美樹)に渡ると思われていましたが、彼が残したビデオメッセージには、全財産を秘書の桜庭真一(髙嶋政伸)に相続させるという内容が含まれていました。
しかし、日本の法律では、このような「ビデオ遺言」だけで遺言として認められることはありません。

ビデオ遺言とは?なぜ使われるのか

ビデオ遺言とは、被相続人(亡くなった人)が自分の意思を映像で残す遺言の形です。
近年、スマートフォンやカメラが普及したことで、手軽に遺言のようなメッセージを録画できるようになりました。特に、高齢者や字を書くのが苦手な人にとって、話すだけで自分の意思を残せる点が魅力とされています。

また、ビデオ遺言は、相続人に対する最後のメッセージとして感情を伝える手段としても使われることがあります。手紙の代わりに、「ありがとう」「自分の考えを理解してほしい」といった気持ちを伝えるのに適しています。

日本の法律ではビデオ遺言は無効(民法968条の規定)

法律上、遺言が有効と認められるためには、民法に定められた方式を守る必要があります。日本の民法では、以下の3種類の遺言が正式なものとして認められています。

①自筆証書遺言(民法968条)
全文を自筆で書き、署名・押印する必要がある
2019年の法改正により、財産目録のみパソコン作成が可能になった

公正証書遺言(民法969条)
公証人が作成し、証人2名の立ち会いが必要
最も確実で、紛争を防ぎやすい

③秘密証書遺言(民法970条)
遺言の内容を秘密にしつつ、公証役場で証人を立てて保管
実際にはあまり利用されていない

このように、日本の法律では「書面による遺言」が基本であり、ビデオだけの遺言は無効となります。たとえ本人がはっきりと意思を述べていたとしても、法的効力は一切認められません。

ビデオ遺言が果たす補助的な役割(エンディングノートとしての活用)

ビデオ遺言は法的には無効ですが、補助的な役割を果たすことはできます。例えば、次のような使い方が考えられます。

エンディングノートの補足として、相続の意思を伝える

②遺言書の内容を相続人に納得してもらうためのメッセージとして活用

公正証書遺言の作成時に、弁護士や公証人に意向を伝える参考資料として利用

実際に相続トラブルが発生した場合、ビデオ遺言があることで「故人の意思」を尊重する動きが生まれる可能性はあります。ただし、あくまでも参考資料にすぎず、法的に有効な遺言書を作成しておくことが何より重要です。

相続探偵1話のケースから学ぶ、複数の遺言書が見つかった場合の対応

「相続探偵」第1話では、被相続人の複数の遺言書が発見される場面がありました。これは現実でも起こりうることであり、相続人にとって大きな混乱を招く可能性があります。
では、実際に複数の遺言書が見つかった場合、どの遺言が有効になるのでしょうか?

遺言書が複数ある場合、どの遺言が有効になるのか?

民法では、遺言の内容が異なる複数の遺言書が見つかった場合、最新の日付の遺言が優先されると定められています(民法1023条)。
つまり、たとえ過去に作成した遺言書がしっかりしたものであっても、後から作成された遺言があれば、それが有効になります。

例えば、
●2015年に自筆証書遺言を作成
●2020年に公正証書遺言を作成
●2023年に新たな自筆証書遺言が見つかった
この場合、最新の2023年の遺言が有効となります。
ただし、後の遺言が過去の遺言のすべてを無効にする内容でなければ、両方の遺言の矛盾しない部分は有効となることもあります。

無効になる可能性がある遺言とは?(署名・押印の不備など)

複数の遺言書があった場合でも、以下のような不備がある遺言は無効になる可能性があります。

①署名・押印がない → 自筆証書遺言では、署名・押印が必須(民法968条)

②遺言作成時に本人の意思能力がなかった → 認知症が進行していた場合、無効とされることがある

③証人が不適切 → 公正証書遺言では、証人2名が必要(民法969条)だが、法的に適格でない人(推定相続人など)が証人になっていると問題になる

④遺言の内容が不明確 → 「長男に財産をすべて譲る」とあるが、具体的な財産が記載されていない場合、無効になることがある

特に高齢の方が遺言を作成する際は、意思能力の有無が争点になるケースが増えています。遺言の有効性を確実にするためにも、公正証書遺言を作成するのが最善の方法です。

争族を避けるための対策(弁護士に相談する重要性)

複数の遺言書が見つかると、相続人同士で「どの遺言が有効なのか?」と争いが発生しやすくなります。このようなトラブルを避けるために、以下の対策が有効です。

●遺言を作成する際は、公正証書遺言を選ぶ(無効リスクを減らせる)

●作成した遺言の内容を家族に伝えておく(事前に話し合うことでトラブルを防ぐ)

●信頼できる弁護士に遺言の内容をチェックしてもらう(法的に有効な遺言を残せる)

特に、公正証書遺言は公証人が関与するため、内容の明確性や本人の意思確認が厳密に行われるというメリットがあります。横浜にも多くの公証役場があり、弁護士と相談しながら適切な遺言を作成することができます。

横浜で遺言・相続トラブルを防ぐためにできること

相続は、家族にとって大きな節目の一つです。しかし、遺言の内容によっては、親族間の争い(いわゆる“争族”)に発展するケースも少なくありません。特に、ビデオ遺言のように無効な遺言が発見されたり、複数の遺言が存在したりすると、相続人同士の対立が深まる可能性があります。こうした相続トラブルを未然に防ぐためには、どのような対策が有効なのでしょうか?

公正証書遺言の作成が確実な理由

遺言の種類はいくつかありますが、最も確実なのは公正証書遺言です。公正証書遺言には、次のようなメリットがあります。

①法的に無効となるリスクが少ない
公証人が関与し、法律に基づいて作成されるため、署名・押印の不備や意思能力の問題が発生しにくい。

②偽造や紛失の心配がない
公正証書遺言は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクがほぼゼロ。

③裁判を避けやすい
遺言の有効性を巡る争いが起きにくく、相続人同士のトラブルを防ぎやすい。
横浜には複数の公証役場があり、弁護士と相談しながら公正証書遺言を作成することができます。相続トラブルを防ぐためにも、できるだけ公正証書遺言を選ぶことが望ましいでしょう。

家族間での事前の話し合いの重要性

遺言書が適切に作成されていたとしても、それを相続人が知らない場合、相続トラブルが発生することがあります。特に、遺言の内容が特定の相続人に偏っている場合、他の相続人の不満が生じることが多いです。

これを防ぐためには、生前に家族と話し合い、遺言の意図を伝えておくことが重要です。例えば、次のような方法が考えられます。

●家族会議を開き、遺産分割の方向性を共有する

エンディングノートを活用し、遺言の意図を補足する

●弁護士を交えて相続対策を進める(第三者の視点が入ることで、冷静に話し合いやすい)

このように、事前のコミュニケーションを大切にすることで、相続人同士の誤解を防ぎ、円満な相続を実現しやすくなります。

弁護士に相談することで得られる安心感

相続トラブルを未然に防ぐためには、弁護士に相談するのも有効です。特に、次のようなケースでは専門家のサポートが必要になります。

●どの遺言が有効なのか判断できない

●家族間で相続の話し合いが難航している

●遺言の内容を法的にチェックしてほしい

●自筆証書遺言が適切な形式で作成されているか不安

弁護士に相談することで、法的に正しい遺言を作成し、将来の相続トラブルを防ぐことができます。横浜には相続問題に詳しい弁護士が多くいるため、不安がある場合は早めに専門家に相談すると良いでしょう。

まとめ:横浜での遺言トラブルを未然に防ぐために

ドラマ「相続探偵」第1話では、ビデオ遺言や複数の遺言書が見つかることで、相続人たちが混乱する様子が描かれていました。これは決してフィクションの世界だけの話ではなく、現実の相続でもよくあるトラブルです。

日本の法律では、ビデオ遺言は無効であり、正式な遺言として認められるためには自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のいずれかの形式を守る必要があります。また、複数の遺言が存在した場合、最新の日付の遺言が優先されますが、遺言内容に不備があると無効になる可能性もあります。

こうした相続トラブルを防ぐためには、以下の3つのポイントが重要です。

公正証書遺言を作成する(法的に有効で確実性が高い)

②家族と事前に話し合い、相続の意図を共有する

③弁護士に相談し、適切な遺言作成と相続対策を進める

横浜には相続に詳しい弁護士や公証役場があり、適切な遺言を作成する環境が整っています。相続を「争族」にしないためにも、早めの対策を心がけましょう。

以上、「【横浜の弁護士解説】相続探偵1話から学ぶビデオ遺言の有効性とは?」でした!


弁護士 大石誠
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