ハマ弁日誌

弁護士大石誠(神奈川県弁護士会所属)のブログ 最近は相続の記事が中心です

閑話(春JDA決勝)

頭と手のリハビリと思い,(かなり時機後れですが)春JDA勝戦を肯定側第1立論~肯定側第2反駁まで聞きました。もちろんフローシートを取りながら。


www.youtube.com



16:42〜試合が始まります。

古典的な論題でもありますし,司法修習生になる直前に参戦したときにも使われていた証拠資料もあったので,それなりに頭も手もついて行けたように思いました。

感想
・1ARを終えた時点で,これはNegかな・・・でした。判定もNeg。
・Affは立論を2回終えるまでに置いた証拠資料がもう少し使い勝手が良ければ,と思いました。総論は良いとして,ミクロの分析で勝ちきれなかったと思います。
・1NRの冒頭のケースの返しを聞きながら,なるほど,2NCの最後に出てきたオカムラ2017,モリタ2020の証拠資料が効いてくるのねと。
証拠の使い方や活かし方というのは,弁護士の仕事にも通じるものがありますので,改めて,日々研鑽を続けなければと思いました。



コロナ渦で,これまでと同じように一つの会場に集まって大会を開くことができませんので,ZOOMなどWeb会議ツールが本当に便利な時代になったと思います。


アメリカでも同じように,ZOOMを用いて,オンラインで大会を開いています。


www.youtube.com


8:51~試合が始まります。

ZOOMの画面越しだと何を見ながら話しているんだ,となりますが,コロナ前はこんな風景(2014 NDT Finals - Georgetown AM vs Michigan AP - YouTube)でした。


一応,高校生のときに,英語ディベートの全国大会(HEnDA http://henda.global/ )にも第1回大会,第2回大会と二度出場しましたが,母国語ではないので全然聞き取れませんね(笑)

3月のニュース(消費税総額表示など)

一か月に一度は更新をと思いながら3月末となってしまいました。

有り難いことに,司法修習の同期が声を掛けてくれ,弁護士冥利に尽きるという案件を一緒に取り組んだり・・・という3月でした。


●正当防衛で無罪
横浜地裁で3月19日,傷害罪で審理されていた事件の無罪判決が出たとのニュースがありました。

横浜市内の路上で,70代男性(Vさん)から殴られた60代男性(Aさん)が,Vさんを殴り返したために,Vさんが転倒し,外傷性くも膜下出血などの怪我を負ったという事件だったようです。
AさんがVさんを殴った行為には正当防衛が成立するとして無罪判決が出ました。


同性婚の実現に一歩前進
札幌地裁で3月17日,同性婚が認められないのは違憲であるとして,北海道の同性カップルが国を相手に起こした裁判の判決がありました。
原告となった同性カップルが婚姻届を提出したところ,受理されなかったことに対して,同性婚を認めない法律は憲法に違反すると主張していたようです。

裁判所は,概要,
異性愛・同性愛という性的指向は,人の意思によって選択・変更できない事柄であること
②婚姻によって享受できる法的な利益は,同性愛者であっても異性愛者であっても等しく享受しうる利益であること
③同性愛を精神疾患とすべきとの知見を前提とする立法は,その前提を欠いていること
を踏まえて,異性愛者には婚姻という制度を利用する機会を提供しているのに対して,同性愛者に対して,婚姻という制度によって生じる法的な利益の一部すらも受け取る制度を提供しないとしていることは,憲法14条1項(法の下の平等)に違反するとしました。

最後は国会が解決するしかありませんが,同性婚の実現に一歩前進といったところでしょうか。


●司法試験の出願者数
2021年の司法試験の出願者数が3,754人との発表がありました。

2012年~2015年頃の出願者数が約1万人前後で推移していたことを思うと急激な減少だと思います。

見方を変えれば,合格者数を大幅に削減されない場合,合格するには今年がチャンスかなと思います。


●ファクト確認団体の設立?
ヤフーなどのインターネット事業者でつくられる「セーファーインターネット協会」は,ネット上に拡散されるフェイクニュース対策として,情報の真偽を検証する「ファクトチェック」を行う団体を設置するように総務省有識者会議に求めたとのニュースがありました。

全国教室ディベート連盟・読売新聞が主催した,第24回ディベート甲子園高校の部の論題が「日本はフェイクニュースを規制すべきである。是か非か」で,審判をやる度に,ファクトチェックは簡単にできるものなんだろうかと思っていましたが,正にこれから取組の方向性を議論していこう,ということでした。
https://www.saferinternet.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/Disinformation_interim-report.pdf

またこうして中学生・高校生が時代に先駆けて,青春をかけて議論したことが,その実現に向けて進みますね。


●消費税の総額表示
4月1日から,商品やサービスに表示される価格について,消費税の総額表示が義務化されます。
消費税の総額表示の義務は,平成16年から施行されていましたが,消費税が8%,10%と上がっている過程で,特例として税別価格であることが表記されていれば,税込の表示までは必ず必要とはされていませんでした。
総額表示義務に違反した場合の罰則はありません。

これ,弁護士の仕事にも関係してくるのかなと頭をよぎりましたが,消費税法63条は,「事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。」としていました。

個々の案件毎の請求書・見積書・委任契約書は,不特定かつ多数の者に対する価格の表示ではないので,総額表示の必要はありませんでした。

以上,ちゃんと条文を確認しましょう,というお話しでした。



4月も花粉症に負けずに執務に取り組んでいこうと思います。


弁護士 大石誠(神奈川県弁護士会所属)
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℡045-663-2294
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最近のニュース(相続登記の義務化など)

気付けば2021年も12分の1が終わってしまいました。

最近のニュースで思ったことをいくつか書き連ねてみたいと思います。


1,相続登記の義務化
法制審議会にて,民法不動産登記法の改正要綱案が作成されました。
土地の相続登記を義務化し,3年以内に登記をしなければ過料を科すことを目指しているようです。
これだけを聞くと,被相続人が所有していた土地で,”いやぁこんな田舎の土地を貰ってもね”という場合はどうしてくれるんだとなりますが,相続した土地の所有権を手放せる制度も新設するとのことでした。

http://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf


法制審の改正要綱案を読むと,土地の所有者から国に対して,土地の所有権を国庫に帰属させることについて承認を求めることができるようにする。
求められた場合,国としては,建物が無い,担保権が設定されてない,土壌汚染が無いなどの項目をクリアしている限り,国庫に帰属させることを”承認をしなければならない”とすることを目指すようです。

その他にも,「相続財産管理人」を「相続財産清算人」に変更するなど,また相続分野の法改正がありそうです。


2,男女交際で退学?
東京の堀越高校を退学になった女子生徒が,学校法人に対して損害賠償を求める訴訟を提起したというニュースがありました。
学校の校則には「特定の男女間の交際は,生徒の本分と照らし合わせ,禁止する」と定められているようで,これに違反したとして,自主退学を強いられたと主張しているとのことです。
https://www.sankei.com/affairs/news/210204/afr2102040022-n1.html

学校での生徒に対する処分は,基本的には校長先生の「合理的な教育的裁量に委ねられている」とされていますが,他方で,退学処分については他の処分と比べて慎重な配慮が必要だとされています。
裁判所も「例えば停学ならしょうがないにしても,退学までは・・・」という感覚を持っているということですね。

自主退学を勧告した事例では,
①その行為自体の内容(今回のニュースでは男女交際という校則違反),
②反省の状況,
③素行,
④これまでの学校の指導内容,
⑤家庭の協力の有無,
⑥自主退学を勧告するまでの経緯

を踏まえて,校長先生の裁量を超えているのかを裁判所が判断していくことになります。

男女交際という校則違反だけで自主退学の勧告というのは無理な話なように思いますので,学校側の代理人としては,素行に問題が無かったかを丹念に聴取しているところではないでしょうか。


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迎春

気付けば怒涛の年末が過ぎ、2021年を迎えました。

年末年始のまとまった時間を確保できる時期に行いたかった案件に取り組みつつ、普段読むことができなかった書籍とも格闘しています。

・完訳 7つの習慣

完訳 7つの習慣 人格主義の回復 | スティーブン・R.コヴィー, フランクリン・コヴィー・ジャパン |本 | 通販 | Amazon

・ビジョナリーカンパニー

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則 | ジム・コリンズ, 山岡洋一 |本 | 通販 | Amazon

ドラッカー

チェンジ・リーダーの条件―みずから変化をつくりだせ! (はじめて読むドラッカー (マネジメント編)) | ドラッカー, P・F., Drucker, Peter F., 惇生, 上田 |本 | 通販 | Amazon

この辺りは読もう読もうと思いながら、普段は眼前の案件とそれに関連する文献を優先してしまっていましたので。

 

本年も新型コロナウィルス感染症に留意しながら執務して参ります。

 

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BLEACHというマンガ

週刊少年ジャンプに2001年から掲載をされていたマンガで,学生時代によくコンビニで立ち読みをしていました。


年月を経て,定期的に読む雑誌も変遷し,今では毎月,日弁連から送りつけられる届く「自由と正義」という雑誌を読むように・・・。


日弁連が会員向けに発行している雑誌で,2020年11月号には「ある調停官の1日」と題して,大阪弁護士会所属で,現在大阪家裁家事調停官を務めている方の記事が掲載されていました。


調停官がどのようなスケジュールでお仕事をされているのか書かれており,日々の業務の中で感じたことなどが書かれていましたが,最後に

BLEACH』というマンガのなかで「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」というセリフがあるのですが,たとえば「明らかである」を多用する主張書面を読んでいると「あぁ,確かに。」と納得します。これはほんの一例ですが,調停官の仕事はほかの会員の書面をいくつも読むので,自分の仕事を省みるよい機会にもなっています。」(33ページ)

とありました。

・・・記事を書いた調停官の弁護士さんも,BLEACHを読んで育った世代だったのでしょうか。笑


「神は細部に宿る」とも言いますが,文書を書き続ける仕事である以上,一文一文へのこだわりを持ち続けないといけないな(こだわることが出来なくなったら廃業した方が良いな)と再確認した次第です。



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ウーバーイーツ

街中では,”uber eats”のリュックを背負って走る方をよく見るようになりました。


今回は,ウーバーイーツの配達員に関するニュースの紹介です。


こんなニュースがありました。
☑ ウーバーイーツの配達員に追突され怪我をした女性が,配達員の方だけではなくウーバーイーツの運営会社に対しても,損害賠償請求訴訟を提起しました。

☑ その女性は大阪市内の歩道でuber eats配達員が運転する自転車に背後から衝突され,首や腰を捻挫するなどの怪我をしたとのことです。

☑ 女性は配達員に対して治療代などを求めていましたが交渉が折り合わないため,配達員はウーバーとの指揮・監督関係があり使用者責任があると主張して,治療代など約250万円の支払いを求めて提訴したとのことです(後遺障害の有無は不明ですが,通院慰謝料なども含まれているかと思います)。

news.yahoo.co.jp


ちなみに,アメリカや欧州でもuber関連の訴訟が起きており,配達員や運転手の法的地位については議論がされています。
jp.techcrunch.com

jp.wsj.com

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無断キャンセル

飲食店の無断キャンセルによって,飲食業界全体に生じている損害は,推計で年間約2000億円とも計算されているようです。
https://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181101002/20181101002-1.pdf



宿泊施設についても同様の問題は起きているようで,今回,宿泊予約を無断キャンセルされた宿泊施設が,無断キャンセルをした予約者への損害賠償請求訴訟を提起したところ,予約を入れた男性らに対しての請求通りの支払いを命じる旨の判決が出たとのニュースがありました。
判決書を読んだわけではありませんが,報道によると被告らのうち一部は口頭弁論期日に出頭せず,また,別の被告は分割払いでの和解を申し入れているとのことです。

www.asahi.com

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