ハマ弁日誌

弁護士大石誠(神奈川県弁護士会所属)のブログ 最近は相続の記事が中心です

最近のニュース(相続登記の義務化など)

気付けば2021年も12分の1が終わってしまいました。

最近のニュースで思ったことをいくつか書き連ねてみたいと思います。


1,相続登記の義務化
法制審議会にて,民法不動産登記法の改正要綱案が作成されました。
土地の相続登記を義務化し,3年以内に登記をしなければ過料を科すことを目指しているようです。
これだけを聞くと,被相続人が所有していた土地で,”いやぁこんな田舎の土地を貰ってもね”という場合はどうしてくれるんだとなりますが,相続した土地の所有権を手放せる制度も新設するとのことでした。

http://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf


法制審の改正要綱案を読むと,土地の所有者から国に対して,土地の所有権を国庫に帰属させることについて承認を求めることができるようにする。
求められた場合,国としては,建物が無い,担保権が設定されてない,土壌汚染が無いなどの項目をクリアしている限り,国庫に帰属させることを”承認をしなければならない”とすることを目指すようです。

その他にも,「相続財産管理人」を「相続財産清算人」に変更するなど,また相続分野の法改正がありそうです。


2,男女交際で退学?
東京の堀越高校を退学になった女子生徒が,学校法人に対して損害賠償を求める訴訟を提起したというニュースがありました。
学校の校則には「特定の男女間の交際は,生徒の本分と照らし合わせ,禁止する」と定められているようで,これに違反したとして,自主退学を強いられたと主張しているとのことです。
https://www.sankei.com/affairs/news/210204/afr2102040022-n1.html

学校での生徒に対する処分は,基本的には校長先生の「合理的な教育的裁量に委ねられている」とされていますが,他方で,退学処分については他の処分と比べて慎重な配慮が必要だとされています。
裁判所も「例えば停学ならしょうがないにしても,退学までは・・・」という感覚を持っているということですね。

自主退学を勧告した事例では,
①その行為自体の内容(今回のニュースでは男女交際という校則違反),
②反省の状況,
③素行,
④これまでの学校の指導内容,
⑤家庭の協力の有無,
⑥自主退学を勧告するまでの経緯

を踏まえて,校長先生の裁量を超えているのかを裁判所が判断していくことになります。

男女交際という校則違反だけで自主退学の勧告というのは無理な話なように思いますので,学校側の代理人としては,素行に問題が無かったかを丹念に聴取しているところではないでしょうか。


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