ハマ弁日誌

弁護士大石誠(神奈川県弁護士会所属)のブログ 最近は相続の記事が中心です

【メモ】財産分与と慰謝料と税務

離婚給付を受けた者に対する課税


財産分与を受けた者に対し贈与税は課されないのが原則である。

但し、例外として相続税法基本通達
9-8 婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産(民法第768条(財産分与)、第771条(協議上の離婚の規定の準用)及び第749条(離婚の規定の準用)参照)については、贈与により取得した財産とはならないのであるから留意する。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与によって取得した財産となるのであるから留意する。(昭57直資2-177、平17課資2-4改正)


分与財産のうち、慰謝料として受け取った部分についても所得税等が課税されることはない。心身に加えられた損害に基因して支払を受ける損害賠償金と理解されるためである(所税9条1項17号、所税令30条)。
分与を受けた資産を、将来売却する場合に、譲渡代金から控除される取得費は、分与時の時価である(所基通38-6、東京地判平成3・2・28判時1381・32)。」

出典 東京弁護士会編「新訂第七版 法律家のための税法〔民法編〕」(第一法規 平成28年)304~305ページ